書店員

VOL..014

2014.10.09(Thu)up!

文庫担当 山口舞佳さん
子どもの頃から本が大好きで、大学生のときに書店でアルバイトをはじめる。2013年4月、紀伊國屋書店グランフロント大阪店のオープニングスタッフとして入社。梅田本店の実用書コーナーで1ヵ月間研修を受け、現在はグランフロント大阪店で文庫を担当する。休日の半分は、一日中家で本を読み、もう半分は外出して舞台や映画を観たり、友人と食事やショッピングを楽しむ。子どもの頃に憧れていたのは、バリバリ働くキャリアウーマン。

本を通じて心の交流を。

大好きな本に関わる仕事に就きたいという夢を叶えた山口さん。
希望していた文庫の担当になり、日々楽しみながら取り組んでいる。
さまざまなジャンルの本に囲まれて、今、新たにチャレンジしたいこととは。
しごとを通して感じたコト、学んだコト、いまだからわかるはたらく気持ちを伺った。

楽しく、快適な書店をつくる。

気持ちいい本との出会いをお手伝い。

 2013年4月、話題の商業施設内にオープンした紀伊國屋書店グランフロント大阪店。山口舞佳さんは、オープニングスタッフとして働きはじめた1人だ。
「本が大好きで、中学生のときからアルバイトができるようになったら本屋で働こうと決めていました。大学の4年間は自宅近くの書店でバイトをしていました」
 紀伊國屋書店を選んだのは、「本屋の王様だと思った(笑)」から。
「どの書店を探してもなかった本が、紀伊國屋書店で取り寄せてもらえたんです。そのとき本が見つかった喜びが残っていて、私もそんな風にお客さまのお手伝いができればいいなって。グランフロント大阪に紀伊國屋書店が入ると分かり、絶対に応募しようと狙っていました(笑)」
 梅田本店での研修を経て、晴れてグランフロント大阪店に配属、文庫担当となった山口さん。この店舗だけのえんじ色のエプロンに身を包み、目を輝かせる。
「小説が好きなので、文庫担当になれたときはすごくうれしかったです。この時期はこの本を売ろうという会社の方針はありますが、スタッフがおもしろいと言う本があれば、『売ってみていいよ』って注文させてくれます。作家さんのサイン会のときは、作品の世界をディスプレイで表現したり、やってみたいと言ったら実現できるお店なんです」
 周りのスタッフに刺激を受けながら、新しいお店とともに山口さんは成長している。
「仕事の相談に乗ってくれるだけでなく、本を貸してくれたり、社員もアルバイトも距離が近いですね。ビックリしたのは、意外と本を読まない人が多いこと。でも、ほとんど読まない後輩が、『この本の表紙がかわいい』って言ったとき、『そういう見方もあるんだ』って、本を読まない人に買ってもらうためのヒントをもらいました。その本や作家さんが好き過ぎるとイメージが固まったりするので、おもしろいですね」

書店の魅力は 接客と店づくり。

 自身も多くの本を読み、文庫に関する知識を増やし続ける山口さんだが、書店員にとって、知識以上に大切なものがあるという。
「慣れてきた頃、『常に同じ接客をすれば失敗がない』と、自分の中で接客マニュアルのようなものができていました。でも、遅いとお叱りを受けたり、逆に説明が足りなくてご迷惑をかけてしまったり。観光客と地元の方、サラリーマンと子連れの方では、生活のスピードが違います。当然、同じ接客ではダメだと気がついたんです」
 本は、どこでも同じものが同じ価格で手に入る商品。だからこそ、接客と店づくりが大切だという。
「いかにグランフロント大阪店を選んでもらうか、気分良くお買い物してもらい記憶にとどめてもらうか。本ってこんなオシャレに積めるんだとか、新しいファッションビルにあるからこそ、お店づくりの努力も忘れないようにしたいですね」
 そう話す山口さんにとって、本を通してお客さまとの距離が縮まることが、何よりのやりがいだ。
「入社した年の8月、初めて『山口さん』と名前で呼んでいただけたときのことは忘れられません。感想を言うためだけに来店してくださる方がいるのは、本当にありがたいですね」
 お店と一緒に記憶に残るような、100%満足してもらえる接客を目指したいという山口さん。接客への探求心と本への興味は、尽きることがない。
「以前から好きだったファンタジーや恋愛ものに加え、同僚やお客さまに教えてもらったミステリーや時代小説のおもしろさにもハマっています(笑)。いま文庫担当ですごく幸せなんですが、この先、医学書とかいろんな分野を担当して、書店員としてできる経験を少しでも多く積んでいきたいなと思います」

お役立ちツール

書店員しか持っていない【書店員手帳】。非売品の手帳には、通常の祝日などに加え、文学賞の発表日など書店員が知っておくべき情報があらかじめ印字されている。「実は数が限られているので、私は持っていません!今日は係長のものをお借りしました(笑)。いつも使う手帳には、まだ世に出せない情報などを書き込むため、肌身離さず持ち歩いています」。

取材者からひと言
ご自宅の蔵書は2,000冊弱!本が好きで、接客も好きな山口さんにとって、書店員という選択は必然だったようです。ジャンルにとらわれず、書店員としての経験をもっと積みたいと話してくれた山口さん。彼女の向上心を受け止めてくれるのは、奥が深い本の世界だけでなく、紀伊國屋書店グランフロント大阪店の懐の深さなのかもしれません。あなたも新しい発見をしに、足を運んでみませんか。
会社プロフィール:株式会社紀伊國屋書店
昭和2年創業。全国の主要都市に64店舗を展開する大型書店。劇場と演劇賞の創設、海外への出店等、文化・情報の発信地として新しい書店の姿を示し続け、2011年からは本格的に電子書籍事業へも参入。多くの支持を集めている。

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取材・撮影日=2014年9月5日



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