キュレーター

VOL.055

2016.03.28(Mon)up!

ニフレル事業部展示計画チーム   魚類担当 北 あかりさん
2014年12月に海遊館へ入社後、2015年9月にニフレル事業部へ異動。現在『すがたにふれる』ゾーンでキュレーターとして20種類以上の魚を飼育・管理している。キュレーターとは、生き物を飼育・管理しながら生態などを紹介する、専門的な知識を持ったスタッフのこと。北さんのお気に入りのスポットは入り口すぐのシロボシアカモエビ。「他の水族館では脇役でも、あの愛らしさはメインを張れる!」とイチオシ。子どもの頃になりたかった職業はもちろん、動物に関わる仕事。

生き物のふしぎといのちにふれる。

修学旅行で見た、野生のイルカに感動した北さん。憧れの気持ちから、飼育員という夢を一途に追いかけた。
念願叶って、子どもの頃から大好きだった海遊館へ入社。1年足らずで新施設ニフレルのオープニングメンバーに抜擢された彼女に、しごとを通して感じたコト、学んだコト、いまだからわかるはたらく気持ちを伺った。

知られざる、かわいい魚のすがたを伝える。

生き物とのふれあいは難しく、そして楽しい。

猫を飼っていたり、父親と一緒に釣りへ出かけたり。幼い頃から生き物が大好きだった北あかりさん。彼女に海遊館から内定の連絡が飛び込んできたのは、2014年の11月半ばだ。
「信じられない!私、本当に夢を叶えたんだ!と、飛び跳ねてしまいました」
しかし、希望を抱いて歩み出した道は、平らではなかった。
「イルカに憧れていたのですが、担当したのはクラゲ。私にとっては未知の世界でした。エサの準備や、クラゲの透明感に負けないように徹底して水質を管理。さらにはバックヤードで行うクラゲの繁殖など…作業がとても多く、本当に体力勝負!分からないことだらけで、一日中バタバタしていました」
華やかな舞台はない、泥臭い仕事ばかり。それでも4ヶ月を過ぎた頃には、クラゲにすっかり愛着が湧いていた。そんな北さんに、さらなるチャンスが訪れる。当時オープン準備中だったニフレルのメンバーに選ばれたのだ。配属は9月。2ヶ月後に迫ったオープンに向け、怒涛の日々が始まった。
「私が担当する『すがたにふれる』ゾーンの水槽はまだ製作中で、しばらくはペリカンの飼育を任されました。ペリカンを近くで見るのははじめて。クチバシってこんなに大きいんだ!戦ったら負ける!と思いましたね(笑)。野生から来た子なので、はじめは威嚇されました。でもそこがクラゲと違っていて面白いところ。嫌がっているとか怖がっているとか、はっきりとした意志を持って伝えてくるのは新鮮でした」

魚のふしぎと魅力をお客さまに伝えたい。

『すがたにふれる』ゾーンが完成したのは、オープンギリギリだった。水底からライトを当て、魚のすがたを幻想的に浮かび上がらせる、アーティスティックな水槽。その斬新な展示方法に、魚たちは戸惑った。
「いつもは上から光を浴びているのに…変だなぁ?って、不思議な感覚だったんでしょうね。朝、出勤して水槽を覗くと、ひっくり返って泳いでいました。上下を勘違いしたらしいです(笑)」
水槽の立ち上げ業務は想像以上に難しく、同じチームの先輩にアドバイスを受けながら試行錯誤を繰り返した。オープンから3ヶ月が過ぎて、ようやく安定したという。
「『すがたにふれる』ゾーンの魚は、すがたカタチをよりクリアに見ていただきたい。水槽の水は毎日換えて、ガラスも拭いて、常にキレイにするようにしています。特に、フンをしやすいハリセンボンは、こまめなチェックが必要です」
ニフレルの特徴は、展示方法だけではない。
「水槽の前に出て、お客さまと接しながら飼育するんです。みなさんの前でエサやりをすると『食べた!可愛い!』と集まってくれます。お客さまの反応を近くで感じられるのは嬉しいですね」
魚と人間との架け橋となり、魚の不思議や可愛らしい表情を知ってもらえる。これこそが、ニフレルで働くキュレーターとしてのやりがいだという。
「以前、水槽を拭く時、唇の跡が残っていたんです(笑)。お子さまが水槽に張り付いて覗いてくれたんだなぁ…と、微笑ましく思いました。お子さまだけでなく、魚の生態や展示に詳しい大人も来てくださいます。私も負けないようにもっと勉強して、魚の魅力をたくさんの方に伝えたいです!」
ポジティブで明るい北さんだが、彼女にも落ち込む時があるという。
「飼育していた魚が急に死んでしまうと、やっぱり辛いです。もっと出来ることがあったのではないかと…。でも、落ち込んでばかりはいられません。原因を見極めなければ、他の魚が死んでしまう可能性もありますから」
小さな魚の寿命は長くても5年。人間と比べると、一瞬に近い。
「だから、1日1日を大切にしたい。今を生きている魚たちが、元気いっぱい泳げる環境をつくってあげたいです」

お役立ちツール

「『すがたにふれる』ゾーンは暗いので、懐中電灯は必須アイテム!水槽の下のろ過装置を見る時や、魚のヒレを観察する時にも使います。魚の病気や体調不良を早期に発見し、予防することもキュレーターの大事な役目です。スタッフジャンパーは、水温が低いエリアなのでいつも着ています。暖かいんですよ♪」

取材者からひと言
水族館で働くのは、狭き門。順調に内定を決め、タイミングよくニフレル開業に携われたラッキーガールの北さん。彼女のポジティブさと動物への強い愛情が、夢を叶えるチャンスを引き寄せたのだろうと思います。好きなことに一直線。幸せそうに魚と接している姿から、たくさんの刺激を受けた取材となりました。
会社プロフィール:株式会社海遊館
海遊館、天保山マーケットプレース、天保山大観覧車を運営する。2015年11月19日、「感性にふれる」というコンセプトのもと、水族館・動物園・美術館のジャンルを超えた「生きているミュージアム ニフレル」を開業。http://www.nifrel.jp/

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取材・撮影日=2016年2月19日



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